お勧めのCDは?

こうカノンのCDコレクションが増えてくると、「塚本さんのお勧めCDを教えてください」というメールをいただくことがある。だが、少々返答に困ってしまう。正直、ページを見てくれた上にメールまでいただけることは大変嬉しいことなのだが。

僕の勝手な推測によれば、「私には塚本さんのようなヒマ人ではありません。(普通そうだ) コレクションは玉石混交のようなので、私にも楽しめるやつを手っ取り早く教えてください。私はそれを買いに行きます」という意図なんだろうと思う。言葉は悪いが、違ってたらごめんなさい。

でも、僕が良かれと思って自分の気に入ったCDを紹介してそれを誰かが買ってきたとしても、本当にその人の気に入ってもらえるかどうか、保証はできない。カノンが好きという人が集まったって、カノンのどこに惚れているかなんて千差万別じゃないですか。とにかくメロディーが気に入った人とか、ただの輪唱を芸術的に仕上げたパッヘルベルの職人芸に惚れた人とか、現代でも通用するコード進行によって醸し出される雰囲気がたまらないという人とか。

僕が勧めるのなんて、個性の強いCDばかりなんだから(そういうのを集めているわけなのだが)、パイヤールのような超スタンダードな名演の好きな人に、とてもブライアン・イーノなんかお気の毒で勧められないし、ましてやパンク版蛹化の女なんか買われてしまった日には、カミソリとか送られてきてしまうかもしれない(笑)

ワインっていうのは、値段の高い安いってのはあるけれど、TPOに合った選択ってありますよね。状況、体調、気分なんかでベストの選択って変わりうるわけで、僕自身ベストと思っているカノンのCDも、どんどん変化している。僕は一流のソムリエのように音楽の修行を積んだことも無いが、いちおうこれだけ集めたんだから、「どんな感じのCDを求めているのか」という手がかりさえ与えてくれれば、ひょっとしたらお力になれるかもしれない。

それでもこの場で言えっておっしゃるなら、言います。David Lanzの「Solstice」と、Winton Marsalisの「Baroque Music For Trumpets」です。

2000年8月10日

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